2020年の小学校でのパソコン教育の必修化に向け、子供にパソコンを準備するおうちがそろそろ増えてきました。
そこで、子供にはじめてのパソコンを教える際におさえておくべきポイントや注意点をまとめてご紹介します。
大切なのは教育がはじまった時、子供がしっかりと「授業についていける」ための準備=リテラシーです。
今回はハードウェア編として製品の選び方を多方面からご紹介します。
目次
パソコン選びのポイント
新しいパソコンを買い与える場合だけでなく、はじめてパソコンを触らせる場合、いくつかの点に気をつけておく必要があります。
まず何よりも重要なのは快適であること。
なぜなら「パソコンを教える」ということは、「パソコンの素晴らしさ、楽しさを認識してもらう」ことだからです。小学生相手にいきなりハイテクの可能性や世の中の変化を語っても理解できませんからね。
これには大きく3つのポイントがあります。
- 子供の手のサイズでも扱いやすい幅と奥行き
- 目が疲れない画面
- スムーズに動かせるスペック
なお、OSはWindows/Macどっちでもいいです。まさか最初からLinux与えることはないと思いますし、WindowsもMacも社会に出てから必要とされる点では一緒です。
子供でも扱いやすいサイズ - ただし小さすぎるものはNG
パソコン本体を選ぶ時、せっかくならと「子供向け」「キッズ向け」のかわいらしいパソコンを購入するケースもあると思いますが、僕としてはおすすめしません。
理由は簡単で、そうしたパソコンは成長したらすぐ使わなくなるため、完全に「オモチャ」の域を出ないからです。かわいくデコるのは本体ではなく、ソフトウェアのUIで十分です。
どうせなら社会に出ても通用する認識をもたせたほうがいい、そう考えると、一般的なラップトップまたはデスクトップを与えることを推奨します。
ちょっと脱線すると、デスクトップパソコンは選択肢に入れるべきだと考えています。
メリットは以下のようなものがあります。
- 好きなモニタを接続できるため、サイズや画質に妥協しなくて済む
- 好きなキーボードとマウスが使えるため、触って気に入らなくても交換できる
- 最もスタンダードな意味で「パソコンとは」という認識を持てる
このあたりが大きな理由です。
子供の手でも扱えるように小さな製品を選ぶと画面も小さくなってしまいますが、デスクトップなら好きなサイズのモニタを接続できます。なんなら2台、3台繋げることも可能。
また、ラップトップ(ノートパソコン)は製品によっては質よりも軽さや耐久性を重視していることがあるため、モニタの画質がそこまで高くありません。ついでに音質もかなりヘボいです。
というか、画質が高くてもサイズが小さければ意味がありません。4K解像度のAndroidスマートフォンとかあったでしょ?
はじめて触ったパソコンがザラザラ画質のペラペラ音声だったら子供はすぐに飽きてしまうかもしれません。そうでなくても情操が育ちにくいでしょう。目も悪くするかもしれません。
目が疲れにくいモニタの選び方
もしデスクトップパソコンを買うのであれば、モニタには多少こだわりましょう。ポイントは2つです。
1つはサイズ、これはデファクトスタンダード(業界標準)といえるものがあるため迷うことはありません。
デスクトップであれば24インチのモニタを選べばとりあえず大丈夫です。
以前買ったAcerのモニタのレビューでもお伝えしたことですが、24インチの画面とは、巷によくある雑誌やパンフレットといった「A4の冊子」を開いた状態と同じサイズになります。(つまりA3サイズ)
このためデザイン業界の需要が高く、メーカーとしても業務用に大量生産するための重要な位置づけとなっています。
つまり、製品のラインナップが豊富で価格競争が激しいということ。安価な入門モデルからクオリティにこだわったモデルまで、お値打ち価格で販売されていることが多いはずです。
2つ目のポイントは疲れ目を軽減する「フリッカーフリー」という機能。簡単にいうと、蛍光灯やテレビ画面をスマホのカメラを通して見た時に発生する「ちらつき」を抑えたものです。
これは液晶メーカーのBenQ(ベンキュー)が得意としていますが、多くのメーカーで採用されています。ブルーライトよりもこっちのほうが個人的に目への負担が大きいと思いますので、覚えておかれることをおすすめします。
ラップトップ(ノートパソコン)であれば、モニタのサイズは本体のサイズに完全に左右されます。
子供が持ち運ぶことを考えると、1kg以上ある製品は避けるべきだと思います。昔仕事で1.4kgのMacbook Airを持って電車に乗っていましたが、肩外れるかと思いました。意外と重たいんですよパソコンって。本体は軽くてもACアダプタがずっしりしていますし、周辺機器も一緒に持ちますから。
軽さを求めると必然的に本体サイズも小さくなります。が、できれば10インチ以下は選ばないことをおすすめします。ここまで小さいと数もそんなにないけど。
小さな手に合わせて小さめのパソコンを買うと、成長してから操作しづらくなります。かといって最初から大きすぎても扱えない、そこで11~13インチくらいの製品を選ぶことをおすすめします。
このくらいならモニタが小さすぎる心配もなく、社会に出ても使うサイズです。もしキーボードが大きすぎるのであれば、小さめのUSBキーボードをつけてあげると良いでしょう。
また、ノートパソコンの場合トラックパッドの動作がメーカーやモデルによってかなり違うので、選んだ製品の使い方は知っておいたほうが良いです。パナソニックなどの円形トラックパッドだとくるくる回すように動かしてスクロールとか、ASUSとかの海外製品は2本、3本、4本指での操作(ジェスチャー)にも対応しているとか、トラックパッドに指紋認証センサーが埋め込まれているとか、右クリックと左クリックを検出できるとか、いろいろです。
スムーズに動かせるスペックの妥協点を探る
パソコンのスペックというと考えることが多いように思うかもしれません。
CPU、メモリ、ストレージ、省電力、拡張性など、確かにポイントはいっぱいあります。が、最初に気にすべきところはほぼ決まっています。
まずCPUについてはIntelであればCore i3は捨ててください。i5以上であれば一般的なユースケースで不都合はきたさないでしょう。ラップトップ(ノートパソコン)の場合は少し注意が必要で、一部にファンレスモデルがあるためAtom等パワーの低いものが搭載されていることがあります。(CPUパワーが高いと発熱がすごいため、パワーを抑えて熱を減らす。CPUクーラーのついていない小型ラップトップやタブレット型コンバーチブルで採用されることがある)
2in1とかの製品はとりあえずCPUを見ると良いです。が、そこまで。クロック周波数とかは気にしなくていいです。別に3DCGゴリゴリ作るわけでもないでしょ?
ユースケースを考えるとCPUよりも大切なのはメモリ(RAM)です。ただしこれも規格(DDR3とか)は気にしなくていいです。最低4GB以上、できれば8GB以上を目安に、容量に注目してください。
CPUは「重たい作業を快適に動かす」際に大切ですが、メモリは「複数の作業を同時に動かす(=マルチタスキング)」際に重要です。パソコンは起動しているだけで数十個のプログラムが裏で動いていることも珍しくないため、メモリ容量は妥協しないほうが長持ちします。
特に、自分で増設する知識と腕がない場合は最初から妥協せず多めに積んであげると良いでしょう。製品同士の相性だけでなく、小型ラップトップだとRAMの形が異なる場合も少なくありません。
またバッテリーの性能についてははっきり言って大差ありません。あえて注目するとしたら、モニタの解像度が高い製品はバッテリー消費が多少早まる可能性があります。解像度が高いとバックライトが強くなるためです。
また、モニタの明るさやスリープの間隔など、電力消費を効率的にするための設定方法も過去に紹介していますので、よければご覧ください。
次にストレージ(ROM)について、これも近年では少し考えて選ぶ必要が出てきましたが、考え方は至ってシンプルです。
小型軽量のノートパソコンで積極的に採用されているSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)は、従来のHDD(ハードディスク・ドライブ)に比べて高速な動作と静音性、耐久性が特徴です。
HDDはアナログレコードのように内部で針のようなものが動くため衝撃に弱く、カリカリ音が出ていたのですが、SSDには可動部が無いため音が出ず、揺れなどにも多少は耐えることができます。SSDの仕組みはSDカードなどと一緒です。
そのかわりSSDはHDDほど大きな容量を持っていません。HDDであれば2TB、4TBなども出回っていますが、ノートパソコンに搭載するSSDは低ければ64GB程度から、高くても512GB程度までの製品がほとんどです。
値段的にもSSDはHDDよりも高いため、あまり大容量のものを選ぶと結構な金額になることもあります。
ノートパソコンはストレージの増設・換装ができないものもあるため、どうしても足りない場合は外付けのSSDやUSBメモリなども視野に入れます。ただし都度カバンなどに入れて持ち運ぶことを考えると、挿しっぱなしにはできないため多少不便です。その点は認識しておいてください。
余談ながら外付けドライブは「リムーバブルメディア」と呼称します。リムーブ(取り外し)できるメディアってことです。
続いて、筐体の選び方についてご紹介します。
キーボードはパンタグラフ一択!その理由は?
細かい仕組みとかはおいといて、こういう平べったいフラットなタイプをパンタグラフといいます。
対して、おそらく親世代にとって多少懐かしいだろう凸凹のついたものをメンブレン(方式)キーボードといいます。
またこれと形状が似ており、より高級な製品にメカニカル方式というものもあります。
それぞれ一長一短あって好みで選ぶことができますが、はじめてのPCを体験させる際はパンタグラフ方式をおすすめします。
理由は簡単で、これが現状最も薄くコストパフォーマンスが良いため、世界中のあらゆるラップトップ(ノートパソコン)が採用しているからです。
触り慣れるならパンタグラフ!ちなみに皆の憧れ、意識高い系御用達のMacBookもパンタグラフです。
デスクトップパソコンの場合キーボードは好きに選べますので、個人的に最も運用しやすいキーボードをご紹介します。
ロジクールの「K750r」というキーボードです。これまで何度かこのブログでも紹介してきましたが、このキーボードもパンタグラフ方式です。
最も大きなメリットは電源不要で動くところ。K750rはソーラーパネルが内蔵されており、室内灯の明かりで自動的に充電するため給電ケーブル不要、電池交換も不要、充電を待つ必要もなく、さらには使い終わった際に電源を落とす必要すらありません。もう何年も使っていますが電池切れを起こしたことは1回もありません。
標準的なQWERTY配列でテンキーもついていますが、日本語はプリントされていませんのでご注意を。キーボードにひらがなとかは一切書いてありません。
また、見ての通りパームレスト(手首を置くスペース)もありません。なのでこれを使う際は広めの机が必要になります。
お値段は4,000円ほどですし、超おすすめです。
キー配列に要注意!そのキーボード、USじゃね?
そうそう配列といえば、海外製のキーボードを選ぶ際はキー配列を確認する必要があります。
日本でというか世界標準で最も親しまれているのは「QWERTY(クワーティと読みます)」配列といい、その名の通りTabキーの右に「Q」「W」「E」「R」「T」「Y」……という順でキーが並ぶものです。
ここまでは一緒。(これ以外にもAZERTY配列やQWERTZ配列などもありますが日本ではほぼ普及していません)
ただ、QWERTYというのはあくまでもアルファベットの並び部分です。その上に並ぶ数字キーや左右Shiftキー、Ctrlキー、Altキー、Enterキーなどの位置や数、Fnをはじめとした各種ファンクションキー、さらにはShiftを押しながら入力する記号などの並びもメーカーや国でバラバラになっていることが多いため、要注意です。
日本語圏だとJIS配列のキーボードが多く、英語圏だとUS配列のキーボードが多いです。この2つは上記のキー配列が若干違いますのでご注意を。
JIS配列とUS配列の違いはこちらで見ることができます。
どっちが良い、悪いという話ではなく、同級生と同一認識が持てるようにすることが大切。授業で「'という記号を打つためShift+7を押して」と言われた時、US配列では「&」が出力されてしまいます。
こうした認識違いを起こさないよう、配列は事前にご確認ください。
たとえばスペースキーやEnterキーが他のキーと同じサイズだったりすることもあり、変換・確定操作が非常にやりづらい製品も存在します。また、Altキー、Shiftキーが左側にしか存在しないものもあります。
キーボードについてはこのくらいで、次はパソコン本体の選び方です。
外部入出力ポートは絶対に確認してから買うこと!
デスクトップパソコンであれば正面と背面に、ラップトップ(ノートパソコン)であれば左右側面についていることが多いはずです。
外部ポートは製品によって搭載される種類も規格もバラバラなので、必ず事前に確認してから購入してください。
ポイントは以下のようになります。
USBポート
まず最も身近なUSBポートですが、最低2つ、できれば3つ必要です。時と場合によりますが、USBを繋ぎっぱなしにするケースは非常に多いからです。
たとえばワイヤレスマウスのレシーバーや外付けキーボード、USBメモリなどがあります。USBが必要になるたびにレシーバーを外すような面倒が起こってはいけません。
また、USBポートは大きく3種類ありますのでそこにも注意が必要です。一般的なUSBポートに加えて、スマホで見慣れたmicroUSBポート、ゲーム機やタブレット等で使われるUSB Type-Cポートがあります。これらは全て形も大きさも違うため、異なるポートに挿すことができません。
子供のスマホを自分のパソコンから充電させる、写真などを取り込む、あるいはExcelデータなどをスマホに送り込むためにもUSB接続は必要です。
もう1つ、ノートパソコンは省電力化のために、スリープモードに入るとUSBポートに電力を送らなくなってしまうことがあります。
これについては上記Windowsの電源設定の記事の「USBのセレクティブサスペンド設定」をご覧ください。
LANポート(イーサネット)
次に必要なのがLANポート、写真のように四角形が3つ繋がったようなアイコンがついていることもあります。(厳密にはパソコンが3つなのかな)
これは搭載していないノートパソコンが多いため本当に要注意です!
LANポートにはLANケーブルを挿します。いわずもがな、これがないとネットに繋がりません。ただし、LANポートを搭載していないノートパソコンはWi-Fiに対応しているはずです。もし、学校内にWi-Fiがあるならば大丈夫かもしれません。しかしWi-Fiは混雑に弱いため、安定した通信をさせたいならLANによる有線接続を推奨します。
せっかくですから子供と一緒になって、自宅のモデムからルーターまで、そしてルーターからパソコンまでの配線と仕組みを一緒に構築してみるのも良い教育となることでしょう。
ぶっちゃけた話、数十人規模の会社で社内LANに家庭用ルーターを使っているケースは決して少なくありません。知っておけば役に立つ機会はまだまだあります。
VGAまたはHDMIポート
次に、できればあったほうが良いのがVGAポートとHDMIポートです。どちらも映像(と音声)を外部出力するためのものです。
VGAは青色のハンコ注射みたいなポート、HDMIはテレビなどでもよく見る台形のやつです。
ちょっと調べるとVGAがアナログであり、デジタルのDVIのほうが良いと思うかもしれませんが、そもそもDVIケーブルを標準で用意してある場をほとんど見かけません。外付けモニタの場合はVGA、プロジェクターなどの場合はHDMIがほとんどですので、この2つはおさえておきたいところです。
ただノートパソコンは薄さを維持するため、外部ポートを削っているケースも少なくありません。そのかわりUSB接続のハブなんかが同梱されていたり、別売りされていると思います。
こういうのです↓
いずれにしろ学校で使うことがあるかを先に確認し、いらなければ気にしなくても構いません。ただこの2つは、少なくとも現代社会では大いに役に立つので、覚えておいて損はないでしょう。
これ以外のポート
上記4つ(USB、LAN、VGA/HDMI)以外にも、パソコンには様々なケーブルを接続するためのポートが設けられています。
ラップトップ(ノートパソコン)であれば電源を供給するためのポートは絶対にありますし、イヤホンを接続する出力ポート、マイクを接続する入力ポート、SDカードスロット、DisplayPort用のポート、また古いモデルではネットワークカードを差し込むスロットなどもありましたよね。
これら不要なポートは可能であれば潰してしまいたいところです。間違えて挿して感電はしないにしても故障させてしまうとか、どれが何かわからなくなる心配もありますからね。
ただ、ポートについては「このPCにこのポートをつけて」と注文することはできません。モデルごとに決まっているため、省くことはまず無理です。
なので必要なポートが確実に装備されているか、そこに注意をして選んでください。
そんな感じで今回はハードウェアの選び方についてご紹介しました。