※現状TomはAndroid以外にはそれほど興味がないのであまり突っ込んだ部分は調べていません。Androidユーザー目線での主観になります。
23日に発表を控えたauのFirefox OS(を搭載した何か)。
すまほん!!に、現在判明しているスペックが記載されていました。
Firefox OS端末LGL25の裏面がリーク – すまほん!!
それによると、
OS Firefox OS
SoC Qualcomm Snapdragon 400 MSM8926 クアッドコア
ディスプレイ 4.68インチ HD(1280×720) IPS液晶
実行用メモリ 1.5 GB
ストレージ 16GB
カメラ 背面:800万画素
前面:210万画素
電池 着脱式電池パック, 連続通話1010分、4G連続待受720時間
寸法 139mm × 70mm × 10.6mm、重量148g
その他 Bluetooth 3.0
となるようです。
印象としてはスペックがやたら高いことが気になります。
あと気のせいかバッテリー小さくね?
Web OSであるFirefox OS搭載機はスペックを高めてはいけない、これはOSの特徴とマーケティングターゲットに要因があります。
しかしスマホ登場以降一貫してハイエンド機しか扱ってこなかった日本市場でこれは暴挙。
日本のエンドユーザーには端末を数値で判断する癖がしっかりついています。
なぜスペックを高めてはいけないか
「じゃあAndroidでいいじゃん」って言われたらどうするの?
この一言に尽きます。
Firefox OSというか「Web OS」がどういうものかはChromebookを見れば想像がつきます。
Firefox OSの大きな特徴とは、
- アプリが「HTML5」で開発できる
ことになるはず。
Javaなどのネイティブコードを主体としたものでなくWebサイトを作る感覚に近いです。
【Firefoxレポート】HTML5に見られる「webアプリケーション」のメリット・デメリット
ちょっと古いですがFirefox OSが登場したあたりに調べた限りの情報では、Web OSには次のメリットがあります。
- アプリの設計がウェブサイトに近く、運用が簡単
しかも1つではなく複数の方向でメリットがあり、
- データをほとんどサーバ上に置けるため端末に保存する量が少ない
- サーバ上のソースを書き換えるだけで「アップデート」が完了し、端末ごとに配布する必要がない
- データを分散(=端末に配布)していないため守りやすい
MMORPGをイメージしてもらうとわかりやすいかと思います。
以前からTomは「Firefox OS用アプリはブックマークとみなせる」と位置づけてきましたが、合ってるでしょうか。
起動したらプログラムが展開されるのではなく、起動したらウェブサーバに接続します。
たとえばAndroid/iOSなど既存OS向けの各種銀行アプリ、AmazonやPlayストアなどのマーケットアプリ、SNSアプリに近いものになるものと思われます。
つまりWebOS搭載機にストレージ容量はほとんどいらないのです。
ノートパソコンであるChromebookもSSDは16GBとかです。
スペックを削れる分安くできるのが第三のOS(の一角、Web OS)の持つ最大の武器です。
ところがauから出るFirefox OS機は初期型で既に16GBのストレージ、クアッドコアプロセッサを持っているようです。
ユーザーはデザインと数値で端末を選ぶ、アプリやインフラなどの品質は後付になるからスペックの妥協が許されないという風潮は絶対にあるので、この時点で国内市場にWeb OSを投入することがいかに難しいかが伺い知れます。
もちろんそうはいってもローカルに保存したいデータは多いものです。
たとえば写真、ムービー、音楽などのメディア・コンテンツがそうですね。そしてストレージが大きいわりに保存するものが少なく、多くの容量が「余って」いる場合はiPod Classicのように外付けHDDやUSBメモリの代用としても活躍する機会はあります。
ここで最初の台詞が戻ってきます。
「じゃあAndroidでいいじゃん」。そして、内部32GB+microSD128GBでも不足するならHDDを持ち歩けばいいのです。
オンラインストレージ、各種メディア・ストリーミングサービスを使用しないのであれば、そしてそれらを使用する場合であっても2大OSの牙城を切り崩す力が現状のWeb OSにはないと思っています。
余談ですが、個人的にChromebookもハードウェアにロースペックの小型製品を採用し、Nexus 7程度のサイズ(7インチ~9インチ画面)、かつて存在したLapdockのような薄さ、軽さを備えてくれれば結構いけるんじゃないかと思っています。でもその場合タブレット市場が直撃を受ける懸念もあります。デフォでキーボードがついておりマウスを使うことも前提されているノートPCの利点です。
では現状第三のOSが市場に食い込む隙はないのか。
その隙が「価格」だったはずです。AndroidOne、CyanogenModなど、ローエンド市場は今結構大きく蠢いているように見えます。
国内のミッドレンジ市場(MVNO/SIMフリー)も勢いを増しており、実際相当数の人がMVNO/SIMフリーへと移っているのかもしれませんが、比率でいえばキャリアの抱えるそれとはかけ離れています。
そしてその「移った」ユーザーの決め手となったのは値段のはず。
スペックを上げた場合(それでも2大OS搭載機の水準には到底届かないため)シェアを奪うこともできず、上がったスペックに比例して上がった端末の値段によってMVNO市場の食いつきも逃す「どっちつかず」の宙ぶらりん状態になることが懸念されます。
アプリのつくりが違うため互換性を持たせることも難しいものと思われるので、このまま何も考えず投入された場合Firefox OSはあのAmazon Fire Phoneをも下回る「Playストアが使えない劣化Android」とみなされる危険性が非常に高いと思っています。
これもあくまで主観ですが、auのFirefox OSは「スマホ」という言葉が生まれた黎明期当時のスペックをあえて踏襲、512MBのRAMに1~1.5GHzのシングル~デュアルコアを採用し、「それでもKitKat以上に快適に使用できる」ことをアピール、そして端末価格を1万円以内に抑えるなどの方針をとってもらいたかったですね。
こうすれば時期的に(少なくとも国内では)Project Araにも対抗できたかも、というのは大げさでしょうか?
スペックを上げたのはアプリマーケット拡張のためネイティブアプリを受け入れる姿勢なのかなとも考えられなくもないかもしれませんが、今言った通り逆効果になりそうな気配がします。
ローカルで動くなら既存OSで十分、そしてウェブ上で動くものは既存OSももちろん実現できています。
「ブラウザ」を主体とするWeb OSの戦略的に中途半端だなぁ…というのが今の感想です。
たとえばPCで「Chrome」ブラウザ使ってて「テキストエディタ」エクステンションを入れてる人って何割くらいいると思います?
せめてもの部分として、良いパーツを使うべきは「ディスプレイ」と「バッテリー」、そしてキャリアの腕の見せ所である「インフラ」です。通信モデムを強化したSoCを採用、とかだったら大いに理解できる気もします。
デザインもかなり重要です。一部の人ならわかってもらえる例えじゃないかと思いますが「HD解像度のXperia arcが2015年水準のAndroidに張り合えるようになって復活した」姿を想像してみてください。
こうすれば売れたろうなぁ…。
そんな感じ。