2015年秋冬モデルとなるXperiaの最上位機種、Xperia Z5 Premium。
世界初4K解像度(3840x2160 16:9)の液晶を採用したものですが、現在標準的なFHD(1920x1080)を超えた際に何が起こるのかを少し考えてみました。
高解像度化によるメリット・デメリット
©解像度 - Wikipedia (画像はパブリックドメイン) |
広く知られている通り、デジタル情報を表示する液晶などは解像度が高いほど高精細な表現が可能になります。
デジタル画面はドット絵と同じような仕組みで描画されており、その「ドット」1つ1つのサイズが「解像度」に繋がります。
Xperia Z5 Premiumは縦方向に3840個、横方向に2160個のドットが並んでいるわけです。
これが5.5インチの長方形の中に敷き詰められるため、
Google検索に計算式を入れると電卓が表示されます。掛け算はx(エックス)、割り算は/(スラッシュ)でも行えます。 |
1インチあたりの画素数を表す画素密度は脅威の 801ppi と出ます(概算)。
ちなみに2560x1600 10.1インチのXperia Z4 Tabletの画素密度は 299ppi (少数第一位を四捨五入)、
1280x720 4.6インチのXperia Z3 Compactの画素密度は 319ppi (少数第一位を四捨五入)です。
高精細という一点ではこれまでの比ではない数値となっているわけです。
また、Xperia Z5 PremiumはフルHDのコンテンツを4K解像度にアップスケールする「4K X-Reality」が搭載されるとのことで、1920x1080サイズの画像などをデジタル処理して劣化を抑えつつ画素数を倍にするような仕組みとなることが期待されます。
4Kの映像を配信できるサービスも登場しており、なかなかに優れた端末といえそうですがちょっと待った。
恐ろしいまでに画素密度が高いですが、所詮5.5インチです。液晶ではなく筐体の外寸ですら15センチ×7.5センチと、片手に乗るサイズです。
たとえブルーレイをリッピングしようとも、ホームシアターのような臨場感を得ることはできないでしょう。
しかもChromecast/DLNAなどに転送する場合、解像度が更に低下する可能性すらあります(出力機器の性能に依存)。
ここで気をつけなくてはいけないことは、画素密度が画像・映像に与える影響は「美しさ」だけではないということです。
密度が高いと電力を食う、その2つの根拠
まず大前提として「画素密度が高い」ということは、それだけ液晶に大量の画素を詰め込んでいるということです。
これによる弊害は大きく2つあって、
- 描画にかかるCPU負担が増大する
- ギッチリ詰め込んだせいで隙間がなくなり、バックライトの明かりが通りにくい
以前も書きましたが、液晶や有機ELなどの「画面」に何かを映し出す「描画」という作業はCPUが担当します。
画像(静止画)の美しさは解像度に大きく依存しますが、ムービー(動画)の場合は更にフレームレートの影響を強く受けます。
解像度をドット絵に例えるなら、フレームレートとはパラパラ漫画のようなもの。
フレームレートを表す単位 fps は frame per second の略です。直訳で秒間フレーム数。要するに「1秒間に何枚の静止画を連続で描画するか」ということです。
ここでごく簡単な計算をしてみます。
Xperia Z4 Tabletは2,560x1,600=4,096,000個の画素を持ちます。
対して、Xperia Z5 Premiumは3,840x2,160=8,294,400個の画素を持ちます。画素数でも倍以上になります。
静止画1枚を描画する時、CPUは「この位置の画素はこの色にする」という命令を画素の数だけ一気に出力すると考えてください。
Xperia Z5 PremiumはXperia Z4 Tabletに比べて倍以上の負担がかかるはずです。
通信などを一切行わないと仮定しても、「描画」だけで倍です。
そしていわずもがな、端末の処理作業は電力を消費します。
地デジなどのようにフレームを2分割して交互に表示する方式の場合、更にフレームレートの2倍のリフレッシュレートが発生します。
より厳密にはCPUの処理効率やコアのポテンシャル、通電量などの比によってもっと違う結論になるかと思いますので、あくまでイメージとして捉えてください。
また、画素密度が高まるとバックライトの明かりが通りにくいといわれています。
下記ITmediaのインタビュー記事では、Xperiaの担当者は「副作用」と表現しています。
以下、記事内の一文を引用させていただきます。
「両方(フルHDかワイドクアッドHDか)議論をしています。高解像度にすると非常に細かく表現でき、絵はキレイに見えますが、副作用もあります。画素が多くなるほど(バックライトの)透過率が下がる(=これまでと同じ明るさを出すには電力を上げないといけない)ので、消費電力の面では不利になります」
© Wikipedia 2013 (CC-表示-継承) |
ちなみにワイドクアッドHD(WQHD)とはZ4 Tabletに近い解像度(Z4Tは16:9ではないためWQXGA)を指しており、Z5 Premiumは更に上のクアッドHD(QHD)です。言葉通りQHDとはフルHDの4倍の解像度を持つことを意味します(縦に2倍、横に2倍)。
この画像では最大でもQSXGAまでしか載っていないので、QHDは枠の外に位置します。
いざ買ってみたら画面が暗かった、では笑えません。
おそらくですが、Z5 Premiumはバックライトの輝度をかなり上げてくると思われます。そしてバックライトの点灯には電力を消費します。
では、解像度がどのくらいあれば美しい映像を見れるでしょう?
我が家のテレビ(AQUOS)のスペックは次の通りです。
画面サイズ 26インチ
解像度 1920x1080 px
液晶の寸法 横697.7 / 縦392.3 mm
です。もちろん地デジに対応しています。
計算上の画素密度は 85ppi です。
なんだか自信がなくなってくる結果となりましたが、横70センチ×縦40センチのFHD解像度のテレビでも映像が荒いと思ったことはありません(外付けBDプレイヤーなどを使う時に使用するHDMIは最大1080pの入力に対応)。
Z5 Premiumはこの1/20以下のサイズに4倍の解像度を詰め込んであるようですね。
ちょっとZ5Pから離れて、Z4 TabletとZ3 Compactの画素密度を見た場合、Z4 TabletはZ3 Compactに画素密度で負けています(比較は上で行っています)。
2K解像度を持っていても画面がでかいため、小さな画面に比べて画素1つ1つのサイズや間隔(隙間)が違ってきます。これが液晶の面白いところです。
こうして改めて考えてみると、Z3C買ってすぐ書いた「画像が荒い気がする」という感想はやはりディスプレイではなく表示させるコンテンツのフォーマットのせいだったようです。
壁紙じゃなく写真で比べればよかったかな。でもそんな細かい違いわからないしな…。
もしこの考えが間違っていないのなら、ドコモから出ると噂の4.6インチFHD解像度端末Xperia Z5 Compact Preiumもいらないかもしれません。電池使うだけ。
※参考までに、4.6インチFHDのZ5CPは 479ppi になります。
というわけで、あくまでもTomの私見となりますがXperia Z5 Premiumの4K解像度には特に魅力を感じません。
ブルーレイレコーダーはあるので、画面サイズが32インチとかであれば大迫力で楽しめたと思いますが、5.5インチではせっかくの4Kの魅力がほとんど失われるものと思われます。
さらにZ4 Tabletのレビューでも述べましたが、FHDを超える解像度の端末となると壁紙なども相応のクオリティが求められるため、探すのに苦労します。
Z5Pは前述の「4K X-Reality」を使ってFHDコンテンツをアップスケールできること、スマホのアスペクト比16:9を守っているため縦横どちらかに引き伸ばされる可能性が若干低いことから心配はいらないとは思いますが、はたして。
いずれにしろ「液晶の性能」と「コンテンツのフォーマット」、そして「周囲の環境(明るさや透明度など)」が全て揃ってはじめて美しいコンテンツを最大パフォーマンスで表示できることは間違いありません。
4K2K対応モニターをお求めの際は、4K2Kで出力できる画像・映像などのコンテンツをどれだけ持っていて、どれだけ頻繁に使うかを一度考えてみると良いと思います。
そんな感じ。
ありがとうござい!詳しい紹介です!Z5 ほかの機能紹介はありますか?
コメントありがとうございます。
お役に立てたようでよかったです(^^
無印のZ5の情報はありませんが、基本的にXperia(またはAndroid)には共通部分が多いので他のもよければご覧ください(たとえばアプリ紹介とか)。
また、Z5 Premiumでしたら少しですがあります。
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