Microsoft Lumia 950 XL |
またも興味深いニュースを見かけたので考えてみました。大筋としてはこの時の続きです。
目次
Lumiaで見せるOneWindows
先日こんなニュースを読みました。
結構なボリュームで面白く、記事中で大きく2つのテーマを扱っています。とりあえずは先に掲載された1つ目のテーマに注目し、2つ目のテーマについては後で述べます。
他社の背中を追い続けるMicrosoft
いきなりですがちょっと脱線します。
Microsoftがここ数年やってきたことは、しがない一エンドユーザーから見ればモバイル大手他社の「後追い」でしかありません。
iOS、Androidなどのタブレット向けに最適化されたOSに対抗したWindows 8(以降)、
Google Drive対抗のOneDrive、
Googleドキュメントに大きく奪われた利用者を取り戻すためのOffice 365およびOffice Online、
Keep対抗のOneNote、
Chromeエクステンションへの対応が期待されるMicrosoft Edge、
Siri、Google Nowを参考にしたCortana、
Apple Music、Google Play Musicの対抗馬と目されるGroove Music Pass、
iPhone、Androidからシェアを奪えなかったWindows Phone、
…etc。
※全て個人的な見解です。
かつては、どころか現在も世界のデスクトップ市場で支配的なシェアを持つはずのMSがいつまで他社を真似し続けるつもりなんでしょうか。
今更Lumiaが参入してもインパクトはない
参照:Microsoft Lumia 950 - Smartphones - Microsoft - Global |
なるほど、MS傘下になったとはいえ、かつての携帯電話(ガラケー)でグローバル市場を支配したNokiaというネームバリューは識者には大きいのかもしれません。
しかし日本市場はそのNokiaを追放した過去を持ちます。世界から受け入れられた携帯電話も日本でだけは流行りませんでした。
そうでなくてもモバイル覇者、AndroidとiOSのシェアがグローバル市場と逆転していることが取り沙汰されるような特殊な市場に対し、Lumiaで同じ土俵に立ったとしても根付くまではいかないんじゃないか、というのが現時点のTomの予想です。
そのへんの格安機と(ちょっと表現がネガティヴになっちゃいますが)十把一絡げとして扱われるんじゃないかと心配しているわけです。
どれだけハイエンドな"モバイル"SoCを搭載しようとも、革新的なUIを実装しようとも、Lumiaはあくまでスマートフォンブランドであり、そしてスマートフォンは既に日本に溢れかえっています。
ネガティヴなイメージを一蹴し、Windows 10 Mobileの存在感を強烈に印象づけるために、ここはぜひとも「Surface」ブランドを使って欲しいと個人的には思います。
Windows Phone参入メーカーはSIMフリーばかり
この発表会では、既にWindows 10 Mobile端末の開発を表明していたマウスコンピューター、FREETEL(プラスワン・マーケティング)、サードウェーブに加え、新たにトリニティ、日本エイサー、VAIOが加わることが明らかになった。
「モバイル・ファースト」時代のWindows最前線:「Lumia抜き」で立ち上がる日本のWindows 10 Mobile市場 (1/2) - ITmedia Mobile
参照:端末について | VAIO® Phone |
今回参入するメーカーの中で、三大キャリアにスマートフォンを定期的に提供しているところはありません。
価格面で評価を失い苦心してはいるものの、デバイスがSIMカードとセットで提供される日本の特殊な環境──キャリア制度にはそれ相応のメリットもあります。
セキュリティに関する多くの部分をキャリアに丸投げできること(そのかわり機能が大幅に制限される上にキャリアアプリがプリインストールされる)、通信、設定、UIなどジャンルに拘らず常に1箇所からサポートを受けられること(3キャリア共通番号「151」)、分割払いや割引・各種ポイントやキャンペーン等の付帯、壊れたら無償または安価で取り替えられる保証制度、などなど。
こうしたメリットのほとんどを取り払い、そのかわりキャリアには実現できない低価格で販売される「SIMフリー」市場は、逆にそのことがネックとなって自分の首を絞めているようにも見えます。
どういうことかというと、端末単品で販売することも可能なSIMフリー機は「安さ」こそが(もっと言えばそれだけが)取り柄であり、キャリア版フラグシップに比肩できるハイエンド品がほとんど出回っていません(事情が大きく異なるiPhoneや個人輸入が必要なグローバル版などを除く)。
こうした中級市場は、スマートフォンがある程度浸透したことで「買い替え」だけでなく「二台目」を求める声に対しては有効に働きます。
が、そこに食い込んでもシェアはそれほど伸びません。「二台目」を欲しがる人の割合は「一台目」を欲しがる人に比べて圧倒的に少ないからです。
スマートフォンの登場から数年、ある程度成熟してきた日本のモバイル市場においてMicrosoftが再起を図るためには「他社製品からの乗り換え(=一台目を機種変更する)」を促すというウルトラCが必要になってくるはずです。キャリアだけでも躊躇するのに、端末メーカーおよびOSを乗り換えさせることは容易ではありません。
乗り換えにかかるリスク
まず最も大きな要素は互換性でしょう。iOS/AndroidからWindows 10 Mobileにアプリデータを移せるのか、ここが焦点となります。
これだけでも相当大きなリスクだと思いますが、Windows 10 Mobileは更に別のリスクも抱えます。
ただこれはWindowsに限った話ではなく、もっと身近なところではAndroidも同様のリスクを抱えています。
それは、簡単にいうと新しいUIを実装した製品を手に取ったユーザーはその使い方を1から覚えなくてはならないということ。
Googleはこの点を実によく理解しており、GBからHoneycombを挟んでICSへ、ICSからJBへ、そしてKitKatへ、Lollipopへ、今またMarshmallowへとアップグレードを繰り返しつつも、ある一点にはほとんど手を加えていません。
Xperiaの設定画面 |
それはフレームワークです。このスクショはXperiaのものですが「設定」のUIはNexusとあまり変わらないはずです(キャリアの設定項目、メーカーの設定項目が追加されてはいる)。
また、「電源メニューの項目と呼び出し方」「スクリーンショット撮影方法」「通知領域の操作方法」「ナビゲーションバーのボタン配置と役割」なども共通した部分が多く、それらを長い間継承しています。
いくつかのAndroidメーカーはここにも手を加えてしまうため、別のメーカー製品を使っていた人が機種変更してくると初期設定から躓くことになります。
余談ですがこうした観点からTomはXperiaのAOSPプロジェクトに賛同しています。問題は見た目と動きが悪いこと(笑)。
加えてiOS/AndroidからWindows Phoneに移行するとOSすら異なるため、設定項目名、およびその機能にも差が生じます。ドロワーの開き方、アシスト機能の呼び出し方、通知の表示方法と操作方法、インテントの扱い方、ホーム画面への戻り方など、根本から異なる仕様になります。
簡単なようでいて「並び順が違う」「項目名が違う」「遷移先が違う」というのはユーザーにとって相当のストレスとなるはずです。
「あの端末でできたこの操作はこの端末ではどうするの?」という悩みを抱えた人が続出します。そしてSIMフリーではそうした声が上がった時、メーカーが自力でサポートしなければなりません。周知できますか?対応しきれますか?サポセン増やせますか?
ほとんどゼロに近いところから始めるわけですから、アーリーアダプターの数も少ないと思います。検索してすぐに答えが見つかるAndroid/iOS関係のブログに相当するリソースもWindows Phoneは持っていないはずです。
MSの出した答えは「ポストPC」
参照:Microsoft Continuum hands-on - YouTube |
これが前述のITmediaで扱っていた2つ目のテーマです。
Windows 10の目玉機能の1つ「Continuum(コンティニュアム)」では、Google Castなどと違ってモバイルからキャストしたアプリが「PCライクなUI」で表示され、更に「操作」も可能になります。
こちらに日本語による解説とレビュー動画が掲載されています。
多機能ゆえ個人利用に留まらずあらゆる法人からも受け入れられたMS Officeの、多機能ゆえの弱点は「指一本ではとても操作できない」ことでした。
仮にインストールしてもそれは閲覧専用(あるいは"本当に軽度な"修正用)となっていることが多かったのではないでしょうか。
ここに目をつけたのかは知りませんが、MicrosoftがWindows10で示した「Continuum」という回答は「モバイルデバイスをパソコンユーザーに売り込む」ような意図が感じられます。
Display Dockでイノベーションは起こせるか?
参照:Microsoft Lumia 950 - Smartphones - Microsoft - USA |
MS版フラグシップ「Lumia 950 / 950 XL」にはディスプレイと簡単に接続できる「Display Dock」が同梱されるそうです。
Display Dockに関する詳細はこちら(英語)。
USB 2.0高速充電対応のポートが2個ついているとありますが、ハンズオン動画などを見るとHDMI1個、DisplayPort1個、microUSB(Type-C)1個、USB3個がついているため汎用性は高そう。接続はディスプレイに加えてマウス、キーボード、マスストレージデバイスをサポートする(連携するスマホのOSに依存)ともあります。
またEngadgetによると、国内発売予定のLiquid Jade Primoには専用のドッキングステーションが同梱され、またContinuumは無線(Miracast)で利用することもできるようです。
ビジネスの現場にスマートフォンが普及すれば、やがてスマホだけで仕事をしたいという要求が高まっていくのではないだろうか。Continuumに対応したスマホなら、モニターとキーボードがある場所ならどこでも仕事場になる。やがて「ノートPCとスマホの2台持ち」が非効率に思える時代がやってくる可能性がある。
「モバイル・ファースト」時代のWindows最前線:「Lumia抜き」で立ち上がる日本のWindows 10 Mobile市場 (1/2) - ITmedia Mobile
確かにこれは考えられます。というより、Tom自身そうできたらいいなと思っています。
個人的にもしこれを使う時を想像するなら、いくつかのメリットとデメリットが浮かびます。
メリット
- ただのミラーリングではなく、PCライクなUIで操作まで可能
- パソコンで作ったファイルを転送する手間がかからない(これがデカイ)
- プレゼンでもかなりの威力を発揮しそう
- マウス、キーボード、ストレージ等をアダプタなしで繋げられる
まず1番はいいとして、2番について。
「Now Loading...」と同じくらいじれったい |
Androidを毎日使っていて一番イライラするのがファイル転送です。USB接続するには防水キャップを開かなければならない(Z4で解決)、MTPが弱いのか知らないが頻繁に接続が切れるため大容量の転送に向かない、無線で送るにはFTP等の環境構築が必要、オンラインストレージはアップロード/ダウンロードの手間がかかる、などが理由です。
最初からスマホ側に入っているファイルをPCモニタとキーボードで編集できるのであれば、「転送」にかかるこうしたタイムラグやトラフィック等のコストが一切発生しません。
スマートフォン側に保存したファイルをそのまま編集できるようになるため、microSDのようにストレージを分離して持ち歩く必要もなくなるはずです。
大きな画面を使って説明 |
そして3番について、これは主に法人から歓迎される使い方になると思います。
Continuumの持つメリットは「ディスプレイ」が使えることです。これを活用できる場面は「操作」だけではありません。
具体的には、次のような用途が考えられます。
- 会社説明会などで立ったまま操作しやすい
重たいノートとHDMIケーブルを持つことなく、スマホをポケットに入れて会場に持ち込み、大画面モニタやプロジェクターなどに繋いでファイルを開くだけでokです。
またスマホ側にはコントロールパネルが表示されているはずなので、タッチ操作で簡単にページ送りなどもできることでしょう。
パワーポイントとChromecastを活用して社員のOJTを行っている企業なども実際にあります。が、その際Chromecastとの連携がうまくいかなかったり、HDMIケーブルを使っている場合は挿し口がわからず右往左往する担当者の姿を見たこともあります。
Display Dockならこうしたトラブルはほとんど起きないと思います。繋ぐだけですし、USBですからね。
4番について、Microsoftのホームページには次のように書かれています。
The accessory supports USB 2.0 compatible mice, keyboards, and mass storage devices (depending on the phone operating system).
Microsoft Display Dock - Microsoft - USA
有線のマウス・キーボードが使えることに加えて、外付けHDDやUSBメモリなどにデータを保存することもできそうな感じです(OSがどこまで対応しているか次第。Windows 10 Mobileならok)。
また一番気がかりだった「作業と充電の両立」もなんとかなりそう。
デメリット
- 有線(これがデカイ)
- デスクトップUI表示はユニバーサルアプリ限定?
- 肝心のマシンのスペックがイマイチ(さらにデカイ)
USB(給電用?1本) + HDMI(1本) + USB(スマホ接続用 1本) |
まず1番について。
まさか自分が利用する全てのモニタにDisplay Dockを繋いでおけというんでしょうか。あるいは、これごと持ち歩かなければならないのでしょうか?
パッと見でケーブル3本も伸びてるんですけども。
サブディスプレイは使えるんでしょうか?
それ以前に有線では利用したいと思うたびにいちいち繋がなければなりません。これは利便性の観点からいけば明らかにマイナスです。前回、Wi-Fi対応のHDMIレシーバーを希望したのはChromecastの利便性をよく知っているからです。
ただし有線にはメリットもあります。それは(おそらく)入力遅延が小さいだろうこと。Chromecastを使ってAndroidをミラーリングすると、操作に1秒前後のタイムラグが発生します。このためゲームなどをキャストして手元のデバイスをコントローラーとすることができません。
またこの場合スマホ本体ではなくDisplay Dock側にマウス、キーボードを接続できるところもポイントでしょうか。
もうちょっと付け加えるなら、国内で目にする可能性が高そうなAcerのLiquid Jade Primoのドッキングステーションでは接続中にスマホを操作できません。スタンドなしで立てちゃってるから(参考)、よそ見しながら適当に押すとmicroUSB端子が折れそう(あくまでも想像です)。
Miracastの場合、Bluetoothの場合はどうなんでしょう?
マウス操作、キーボード操作は? |
次に2番について。
MSのコアアプリ、Office系とOutlookはユニバーサルアプリに対応しているようですが、それ以外のアプリは?
ユニバーサルアプリに対応していないメーラー、メッセンジャー、SNS、テキストエディタ、ファイルマネージャなど(特にサードパーティ製品)はどう表示するのでしょうか。ブラウザやストアはどうなんでしょうか。
ユニバーサルアプリ対応版のWindowsアプリを待つ必要があるとして、慣れ親しんだあのクライアントは対応してくれるんでしょうか。
最後に3番について。
Engadgetにはこのように書いてあります。
Liquid Jade PrimoでContinuumを利用し、ワイヤレス(Miracast)で外部モニタに接続したデモ。モニタにはPCライクのUIが表示されます。ハブを介してBluetoothキーボードやマウスを接続すれば、PCのような使用感です。スマートフォンの画面はトラックパッドとして使ったり、モニタで表示しているアプリとは別のアプリを表示させることもできます。
エイサー、日本発売検討のWin10スマホ Liquid Jade Primo実機公開。目玉機能Continuumをデモ(動画) - Engadget Japanese
Continuum利用中はスマホをトラックパッドにしたり、あるいはスマホで別の操作ができるそうです。
これぞまさに次世代のマルチタスクといえそうですが、肝心のこの機能を実現したWindows 10スマホがミドルクラスです。
以前のWindows Phoneに比べればマシですが、Liquid Jade Primoが搭載するSnapdragon 808は64bitとはいえ1.8GHz(+1.4GHz)駆動の6コア、Lumia 950(XL)ですらSnapdragon 810です。
人によっては64bitヘクサコアはハイエンドに含まれると思う場合もあるでしょう。しかしそれは論点がずれています。
このスペックならまだノートPCとの2台持ちを選ぶんじゃないですか?
Continuumの競合相手は他社製スマートフォン「だけ」ではなく、ノートパソコンも含まれます。
Snapdragonでいいのか…(発熱とか給電とか課題が山積みのためどうしようもない部分もあるとは思います)。
ユーザーは「モバイルをデスクトップ環境で使いたい」と考えているわけではなく、「デスクトップを持ち出したい」と願っているんじゃないでしょうか。
参照:Microsoft Display Dock - Microsoft - USA |
※画像はLumia 950 / XL用のDisplay Dockです。
本当に快適に操作できるんでしょうか?
Continuumで実現していることはリモートコントロールとは違うため通信による負荷はかからないはずです(Miracast時のWi-Fiトラフィックは別)。
しかしそれ以上に「スマホの処理装置で少なくとも2つのアプリをそれぞれ異なるUI(デスクトップとモバイル)で同時に実行する」「その2つのアプリを同時に操作する」、更に、場合によってはBluetoothマウスやキーボードからの入力も受け付ける必要があるわけで、表示の遅延、入力の遅延、ページ遷移の遅延、保存にかかるタイムラグなどが気になります。
ちょこっと操作してすぐ接続解除するならともかく、PCライクとなると半日繋ぎっぱなしで操作し続けるような機会も想定しなくてはならないはずです。また、操作中にアプリを切り替える必要ももちろんあるわけです(ここはデモされていました)。
さらに別の観点から見ると、このデメリットの影響は特に大きなものとなります。
先ほど書いた「二台目を欲しがる人は少ない」という理由からSIMフリーWindows Phoneは集客力が弱いと予想しているわけですが、そこに加えて「一台目にミドルクラスを欲しがる」層にはもっとリーチしづらくなります。利用シーンを想像するに、多くの場合その層にとってデスクトップインターフェースは不要だからです。
そういう人はもっと安い中級スマホを選ぶんじゃないでしょうか?
じゃ、S808をハイエンドとして、ハイエンド需要にリーチする?
それにはまだ知名度が足りない気がします。キャリアは扱ってくれるんですかね?アプリは揃っていますか?データの移行はできますか?
なおITmediaの記事では「さらに最近では「フリック入力のほうが速い」と主張する、スマホ世代も増えているという。」「やがてはiPhoneとiPadで育った世代が主流を占めるようになるだろう。」(※いずれも引用)と述べられています。
確かにそれも一理ありますが、もう1つ、年代とは違った方向からPCを求める向きがあることを付け加えてみたいと思います。
タブレットPCの需要は「PCの使い勝手」への回帰なのでは
参照:ノートパソコン | ASUS TransBook T100TA | ASUS 日本 |
正直昔は絶対流行らないと思っていたモバイルタブレットも、今や一定規模へと成長したようです。
しかしここにもまだ課題は残っているように見えます。
多くの人にとって、スマホ・タブレットはおもちゃだ
タッチ操作は本当に快適? |
要するに皆タッチ入力に疲れているのではないかってことです。
特に10インチくらいの大きなタブレットになると、両手で持っても親指でIMEを操作するのが困難になるケースが目立ちます。机に置ければいいですが、移動中の出番はほぼゼロ。
電車で7インチクラスのタブレットやKindle等を持っている人は結構いますが、Tomの知る限りでは、見かける人の99%が電子書籍またはウェブブラウザで何かを読んでいるか、ゲームしてます。
メールやSNSアプリを広げて「(タブレットで)文字を打っている」人を見かけたことはほとんどありません(ごくごく稀に、キーボードケースごと広げて膝の上で何かしてる人を見たことはあります)。
※決して他人の画面を覗き込む趣味はありません。偶然隣に座ってたとか反対側の窓に反射したとかの理由でチラッと見えた記憶からの推測です。
Twitterがこれほど流行ったのも文字数制限があるから(というと語弊がありますが、要するに短文で成立するコミュニティだから)ではないでしょうか。
これだけは断言しますがタッチパネルで長文を打つことはストレスであって「便利」などとは微塵も感じません。
パソコンを触った経験がなく「フリック入力のほうが速い」と主張する世代も、1ヶ月もPCと向きあえば考えが変わるのではないでしょうか?
ましてそこにWindowsが載っているなら、モバイルに限定された使い方では有効活用しきれているとはいえません。
本当はもっとガッツリ使いたいんだけど、タッチパネルの入力には限界がある…そこで候補に浮上するのがタブレット用のキーボードケースです。
つまり、ウェブやSNSなどで日常的に行われる入力操作を従来の物理キーボードで行いたいと考えている人はまだまだ多数存在するはずです。
であれば、Continuumは多くの人を魅了できる力を持っているはずです。問題はハードウェア要件が要求する操作に追いつけていないことか。
突き詰めて考えるとLumia 950 / XLやLiquid Jade Primoはスマホを物理キーボードで操作したいと考える"ライトユーザー"をターゲットにしているようだという、一種の矛盾が見える気がします。
インパクトは確かに大きいですが果たして発売半年後に使われているんでしょうか…?
結論:ユーザーとしてMSに目指してもらいたい方向性とは
現時点でのTomの要望は「モバイルからパソコンへの回帰」です。
デスクトップ、ラップトップとデジタル処理デバイス市場をずっと掌握してきたMicrosoftが、モバイルという新しい発想の出現に手も足も出せなかった過去を見て、今後目指してもらいたい方向とは「モバイル市場にしっかりと食い込むこと」なんかでは断じてありません。
MSの持つ巨大なリソース、「デスクトップ」の魅力とパフォーマンスを最大限に活用し、かつてモバイルに流れたユーザーをパソコン市場に取り戻すことが理想なのかなと思います。この2つは似ているようで完全に土俵が違うため兼用させることはそれほど難しくないはずです。
ユニバーサルアプリとContinuumでその可能性が見えてきたとは思いますが、正直まだ踏み込みが浅い気がします。コンテンツうんぬんの前に土台が小さすぎる。
じゃ、結局どうすればいいのか?
シリーズの印象を左右する「初期段階」にあるからこそ、今だけは多少無理を押してでも7~8インチのファブレットにAtom x7クラスのCPUを搭載してほしかったです。
そもそもスマホのコンパクトさが大事なんだからタブ(ファブ)じゃ意味ないって意見もあると思いますが、ハードウェア要件(主に放熱器とバッテリー容量)が追いついてないんだからしょうがない。
「他のハイエンドスマホ」と同じスペックじゃ足りないんです。「他のノートPC」と変わらない性能が理想です。
これも個人的な感想になりますが、7インチ程度だと同じサイズのキーボード付きケースでは小さくて打ちにくいですし、「タブレットモード」なんていわずにDisplay Dockと繋いじゃっていいと思うんですよね。サブモニタやIME、トラックパッドとしても映えるし。
Display Dock(ドッキングステーション)側に補助用CPU/GPUを組み込むことは難しかったんでしょうか。
前回「HDMIレシーバー」と言ったのも、この形ならスティック型PCという前例が示す通りCPUファンを組み込めると思ったからです。
接続がUSBじゃ遅いのかな?
「そんなにいうならスティックPC買えばいいじゃん」て声が聞こえてきそうですが、外出先で操作できるのがモバイルの強みです。タッチディスプレイのついていないスティックPCに興味はありません。
そんなモバイルを据置きの大型モニタに繋げられるからContinuumは魅力的なのであって、処理できればなんでもいいというわけではありません。
exeが動くスマートフォン(orタブレット)、早く出して欲しいです。
そんな感じ。